02/02/01
チェキッ娘 「cxco」
 とかく色物的な扱いしかされないグループ。そう、それがチェキッ娘。

 そもそも僕が住んでいる地方ではチェキッ娘関連の番組は一切放送していなくて、「チェキッ娘というおニャン子クラブのコピーがいる」程度の認識でした。その認識はかなり当たっているんですが、この「おニャン子クラブ」というキーワードは諸刃の剣でして、かなりフィルターがかかってしまうんですね。

 さてチェキッ娘ですが、その立ち姿ではなく曲に目を向けてみれば意外と佳作が多く、色物で済ませてしまうには惜しい存在です。「夏休みは終わらない」と唄ったのはおニャン子クラブですが、夏休みは終わりがあるからこそ「夏休み」としての存在意義があるわけです。それはアイドルも同じ事。一瞬の時を切り取るからアイドルは輝いていられます。そしてそこにはやがて来る終わりがあるから切なくもなるのです。チェキッ娘の曲はポップで、それでいて「切なさ」を曲の中に感じるため、アイドルポップスの点から見ればモーニング娘。よりも僕の評価は上です。
 曲をDo As Infinityの長尾大が書いていたり、編曲を今をときめく亀田誠治が行っていたりと、生音を中心にして意外としっかりと作られていますので、「しょせんおニャン子のコピーだから」と思っている方も一度聴いてみる事をお勧めします。
 特に「最初のキモチ」や「大好きな恋」はかなりキャッチーでもう少し認知度があってもいいかな、と思います。

 次回のMETAMO編に続く・・・かも。

■ メンバー
多いので省略

■ 主なディスコグラフィ シングル / アルバム
1998/12 抱きしめて
1999/03 はじまり
1999/05 最初のキモチ
1999/07 CXCO
1999/07 海へ行こう〜Love Beach Love〜
1999/08 ドタバタギャグの日曜日
1999/09 ありがとう
1999/10 BEST MEMORIES (ベストアルバム)
02/02/03
METAMO 「オレンジ」
 前回紹介したチェキッ娘からのユニット、METAMOです。

 METAMOと言えばインディーズでのデビュー曲「オレンジ」がMETAMOの最高傑作だと思って疑いません。ブレイクビーツユニット・HONDALADYが作り出した4つ打ちテクノ色が強くシンセのアタックを多用したトラック、同じくHONDALADYが書いた投げやりな歌詞、そして決して上手いとは言えないMETAMOの3人のボーカル。この3つが相俟って非常に出色の出来になっています。

 ここまでダンスオリエンテッドなアイドルは他にいないのではないかと思えるほど、「オレンジ」はHONDALADYのトラックが強烈な個性となっています。発売は1999年8月ですから、ダンスグルーヴの導入と言う点では「LOVEマシーン」より前に行われています。もう少しスポットライトを浴びる事が出来たら、21世紀型アイドルが誕生していたかも知れません。
 ミニアルバム「JA-DO」は全曲HONDALADYの作詞・作曲・編曲となっていて、こちらも聴き応えのあるアルバムです。

 ちなみに、この「オレンジ」はHONDALADYが「Oranges & Lemons」というタイトルでセルフカバーをしています。興味のある方はそちらもどうぞ。

 チェキッ娘からのユニットではchee'sがガールズ・ポップ・バンドとしていい曲を出していたり、M@Mがスーパーカーの石渡淳治と中村弘二がどこをどう聴いてもスーパーカーのメロディにしか聴こえない曲を提供していたりと、なかなかバラエティに富んでいます。

■ メンバー
五十嵐恵、熊切あさ美、森知子

■ 主なディスコグラフィ シングル / アルバム
1999/08 オレンジ
1999/12 JA-DO
2000/07 タカラ島
2001/02 アイドルの憂鬱
2001/07 ない
2001/08 うざい曲集 (ベストアルバム)
02/02/06
Qlair 「les filles」
 今回も現在進行形ではないアイドルグループ、Qlairの「les filles」です。1991年の発売ですから、これも10年以上前ですね・・・。

 Qlairは井ノ部裕子・今井佐知子・吉田亜紀の3人組ガールポップグループで、CoCoやribbonと同じ乙女塾の出身です。乙女塾出身のアイドルですから当然水着のグラビアや写真集の仕事もしていますが、僕が今でもQlairを好きなのはその歌の素晴らしさ故です。
 同じ乙女塾出身のCoCoがいかにもアイドルアイドルした曲(それはそれで評価出来るのですが)なのに対して、Qlairはポップスと呼んでも差し支えない曲です。それもかなり純度の高い。

 「les filles」は1stアルバムですが、コーラスを多用した歌、淡い乙女心、エヴァーグリーンな曲調といった『Qlairの世界』が既に構築されています。「お願い神様」の女の子の可愛らしさを凝縮した世界観と言ったらそれはもう・・・
 このアルバムはジャケットも素晴らしいです。妖精チックな帽子を被った3人とそれに合わせた絵本から抜け出たような小道具。そのまま額に入れて飾っておきたい気持ちになります。

 Qlairの、特にアルバムに対するクオリティの高さは眼を見張るものがあります。シングル曲でもコンセプトに合わなければ無理にアルバムには収録しません。その為、アルバム1枚を通してのトータルイメージが非常にはっきりとしています。クリスマスをイメージした「Sanctuary」はその点が非常に研ぎ澄まされたアルバムになっていて、ビデオと合わせて見るとスタッフのQlairへの愛情が手に取るように分かります。

 余談ですが、「秋の貝殻」辺りからの井ノ部さんの綺麗になって行き度合いは凄まじいものがありました。

■ メンバー
井ノ部裕子、今井佐知子、吉田亜紀

■ 主なディスコグラフィ シングル / アルバム
1991/07 瞳いっぱいの夏
1991/10 お願い神さま
1991/11 les filles
1992/01 さよならのチャイム
1992/05 眩しくて
1992/06 CITRON
1992/10 秋の貝殻
1992/11 Sanctuary
1993/03 SPRING LOVER 大作戦
1993/07 SUMMER LOVER 大作戦
1993/09 PALETTE (ベストアルバム)
02/02/08
Flipper's Guitar 「Doctor Head's World Tower」
 アイドルのCDが続いたので、しばらくはロック色を強めにいきます。Flipper's Guitar(以下フリッパーズ)です。ロックじゃないかな?でもフリッパーズの気持ち的にはロックでそれにしても今回も既に解散して10年経ってるし・・・次回こそは現在進行形のバンドを・・・。

 世間一般的にはフリッパーズ=ネオアコみたいなイメージがあるんですが僕は1stをリアルタイムで体感していないので、どうしてもフリッパーズ=「Doctor Head's World Tower」=CREATIONレーベルのイメージです。それはもちろんPrimal Screamだったりmy bloody valentineだったり。「Doctor Head's World Tower」はほぼ全編に渡ってサンプリングによって作り出されたビートを導入し、80年代末にイギリスで流行したマンチェスター・ムーブメントの影響を色濃く反映しています。多分プライマルの「loaded」とかを聴いて「Love Train」を、マイブラの「to here knows when」辺りを聴いて「aquamarine」を作ったんだろうって手に取るように分かりますね。
 それを『パクリ』と言ってしまうのは簡単なんですけど、フリッパーズの場合はただ単に『好き』なだけなんでしょうね。要は自分たちが聴いている音楽をそのまま演りたいっていうリスナー体質が強いのが原因でしょうし。だから3枚のオリジナルアルバムはネオアコ/ギターポップ/マンチェと音楽的にはバラバラなんですけど、借物感はあまりなくてどれも「フリッパーズのアルバム」といった印象を受けます。

 フリッパーズがもたらした最大の功績は『日本のロック』とは別の文脈で語ることが出来るという点です。AZTEC CAMERAやORANGE JUICE、プライマルやマイブラ等など海外からの音を「ダイレクトにプラグイン」した彼らの音楽は『日本のロック』をフリッパーズ以前/以後に分けたと言っても過言ではありません。
 アルバム3枚でフリッパーズはその短い活動を終え、小山田圭吾小沢健二はそれぞれソロでの活動を開始しましたが、当時とは状況が違うとは言えミュージックシーンに与えた影響は2人ともまだまだフリッパーズには及ばないと思います。

 「my lovely daughter」のサブタイトル、フリッパーズからパクっているのが何気に多いです。

■ メンバー
小山田圭吾 (Vo/g) 現cornelius
小沢健二 (g)

■ 主なディスコグラフィ シングル / アルバム
1989/08 Three cheers for our side
1990/01 FRIENDS AGAIN
1990/05 恋とマシンガン
1990/06 カメラ・トーク
1990/09 CAMERA! CAMERA! CAMERA!
1990/11 Love Train
1991/05 Groove Tube
1991/07 Doctor Head's World Tower
1991/08 Blue Shinin' Quick Star
02/02/11
渋谷系
 と言う訳で渋谷に行って来たのですが、渋谷系が好きな僕としてはCDショップめぐりをしなければ!と思ったのですが、行ったのが朝なのでまだ開店していなかったりして。
 で、タワーレコードHMVで購入したアイテムは以下の通り。

中村一義 「キャノンボール」
 中村一義のCDを買うのは「金字塔」以来。嫌いじゃないです、「犬と猫」はかなり聴いたので。ただ、ロッキンオン周辺のハイプにも似た取り上げ方がひねくれ者の僕には気に召しませんでした。この曲はPVを見て気に入ったので購入。やっぱりロックだよね(?)。

YUKI 「The End Of Shite」
 ジュディー・アンド・マリー時代は彼女本人は面白い立ち位置にいたんですが、JAMの音楽がそれほど興味なかったので聴かなかったです。でも、この曲はいい。Seagull Screaming Kiss Her Kiss Her日暮愛葉が作詞/作曲/プロデュースしていて、YUKIの低音ボーカルもちょっとエロティックで。ドラムは元フリッパーズ・現トラットリアのディレクターで渋谷系キーパーソンの荒川康伸。

flex life 「それいゆ」
 全く予備知識がなかったのですがタワーレコードの店頭で流れているのを聴いて、一発で気に入りました。僕の前にも店員に聞いていた人がいたので宣伝効果抜群。2曲目の「Getting Better」がかなり秀逸です。ソウルやファンクがベースなんですけど、真っ黒ではなく上手くポップフィールドに展開している感じ。この曲は所属レコード会社のZetimaのサイトで視聴できます。
 余談ですが、このflex lifeはインディーズLD&Kに所属したままメジャーのZetimaからCDを発売しています。NONA REEVESVENUS PETERもその形を取っていましたし、これがインディーズとメジャーのいい関係なのかも。

■ a tribute to WEEZER
 Ashの「only in dream」と同じで「ホントにWEEZERが好き」って想いが溢れ出てて、そりゃ完コピじゃないのか?って曲もあったりして微笑ましくなります。ただ、AshみたいにCDのボーナストラック的な扱いならいいんですが、1枚のアルバムとして聴くとWEEZERのアルバム聴くよなぁってのが率直な印象です。

the Chemical Brothers 「star guitar」
 アルバムを持っているのにシングルを買ってしまった・・・。この曲は本当に好き。輸入版と比べて収録曲が多い国内版を購入。
アナログも欲しかったなぁ・・・
02/02/15
Brendan Benson 「One Mississippi」
 1970年アメリカ生まれで「オルタナ以降のシンガーソングライター」ってくくりが一番しっくり来るかな? ジェイソン・フォークナー、エリック・マシューズと共に新世代シンガーソングライターとして取り上げられたりしていました(ブレンダン・ベンソンもエリック・マシューズもジェイソン・フォークナーがキーパーソンになっています)。
 シンガーソングライターと言っても日本的なアコースティックギター1本で切々と歌い上げるタイプではなく、かといって宅録青年でもなく、基本はあくまでバンドサウンドでアメリカらしい明るく晴れ渡った空のようでいて、錆びたアメ車のように枯れた所も感じさせます。

 ジェイソン・フォークナーとの共作を数多く収録した傑作1stアルバム「One Mississippi」を1996年にリリースして以来全く音沙汰がなかったのですが、この度2ndアルバムが2/26に遂に発売されます。
 StarTime International Recordsで収録曲が1曲聴けるのですが、これがかなり良いです。メロディの良さはそのままに少しタイトになった演奏がばっちりはまっています。

 小さなインディレーベルのようで日本版が出るかどうか不明ですが、輸入版を探して購入するだけの価値はありそうです。

 →ブレンダン・ベンソンの視聴はこちら
 →ジェイソン・フォークナーの視聴はこちら
 →エリック・マシューズの視聴はこちら

P.S
 「One Mississippi」は国内版のみ別ジャケットになっていますが、このジャケットが素晴らしい。ジャケ写買いもアリです。

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 YUKIのニューシングルの作曲はアンディー・スターマーとのこと。聴きたい聴きたい。
02/02/18
「音を楽しむ」と書いて「音楽」
 NORTHERN BRIGHTのニューシングル「COME ON, NOW!」が発売されましたが、このCDの収益金はアフガニスタンの戦争難民のために寄付されるそうです。
 正直、NORTHERN BRIGHTと言うと新井仁の「下北沢ギターポップ」のイメージが強くて、チャリティ等とは無縁の人だと思っていたので少し驚きました。

 確かにミュージシャンが何か出来ないかと考えた時に収益金を寄付しようとするのは分からない話ではないですが、僕は音楽はエンターテインメントだと考えているのでそのような役割を求めていません。

 N.M.L.にせよ今回のNORTHERN BRIGHTにせよ趣旨は評価されてしかるべきなんですが、もっと音楽は軽く聴けるべきではないかと思います。
 その辺りにも影響する「依存度」の話はまたいずれ・・・

 NORTHERN BRIGHTの「COME ON, NOW!」はいい曲ですけどね。
02/02/22
Don't think. FEEL!
 仕事がちょっと忙しくなると途端に更新のペースが鈍るなぁ。ま、それはそれとして。

 漫画家の青木光恵さんがコラムの中で書いていたんですが「尾崎豊のファンはオザキに対する依存度が高い」と。ロッキンオンの読者も依存度は高そうですよね。あと浜崎あゆみのファンとかも。「俺を救ってくれた!」とか「自然と涙が溢れました」とか。
 僕は音楽を聴き始めてかなりの年月が経ちますが曲を聴いて涙を流した事など一度もないですし、ましてや音楽に助けてもらったという気持ちもあまりありません。

 それは僕が耳から入ってきたモノに対して自分が好きか嫌いか(もっと下世話な言い方をすればカッコいいかカッコ悪いか)しか念頭に置いていないからです。そこで思考停止をしているのではなく、それが音楽にとって相応しい「楽しみ」方だと思うわけです。ロッキンオン等は紙媒体である以上、「詩」に注目しアーティストの精神状態を見出し、同調させるような記事を書くのは仕方がないとは思いますが、もっと音楽はプリミティブな物であるべきだと思いませんか?
 僕は見ず知らずの人間にすがろうとは思いませんし、僕の気持ちを代弁してもらおうとはさらさら思いません。

 例えばBECKは「loser」という曲のなかで「I'm a loser(僕は負け犬だ)」と唄ったわけですが、CHAGE&ASKAが今のままのメロディ、今のままの歌い方で同じ歌詞を唄ってもロッキンオンの読者はまず聴かないでしょう。BUMP OF CHICKENの「天体観測」が支持されたのはリスナーが星を見たくなったからではないでしょう。
 そういう事です。
02/02/27
new music machine
 何でも宇多田ヒカルが、イヤ、Hikaru Utadaが全米デビューだそうな。しかもIsland DefJamから。DefJamっつったらそっち方面は疎い僕でも知ってるですよ。凄いじゃないですか、宇多田さん。

 でも・・・大々的に「全米デビュー!」とかって大体失敗するんですよね。松田聖子しかりDREAMS COME TRUEしかりX JAPANしかり。でもその一方で草の根レベルでは成功してる人もたくさんいて。少年ナイフとかHi-STANDARDとかBOOM BOOM SATELLITESとか。
 失敗する人たちって気合が入り過ぎなんですよね、全米デビューだからって。一方、成功してる人ってのは日本でやってるのと同じ事をそのままやって受け入れられてて。普段やってない事をやってもうまく行くわけがありません。

 宇多田さんは頭のいい子だからその辺は大丈夫だと思うんですが・・・。